自分の高座に価値をつけるということ

一席お付き合いを。喜餅です。

自身の寄席「どまんなか寄席」を今年は毎月どこかで開催させる形にしちゃってて、結局1月にする予定だった現実逃避ができていない現実と戦っているという。

そんな中、facebook のTLを見ていたら、上方のプロの落語家さんの寄席のお知らせを見て愕然とした。

木戸銭(入場料)が500円。

ちょっと目を疑ってしまった。

きっと後援企業がついているんだろう、きっとタニマチがいて出演する噺家さんにはちゃんとした出演料が払われるのだろう。

・・・そうあって欲しいと願ってしまうような値段。

・・・でも、そうじゃなかったら?

プロの噺家さんが複数高座にあがるんだよ?会場費や宣伝広告費という経費もかかってると思う。・・・本当に木戸銭だけが収支の「収」だとしたら・・・なんて想像しちゃう。

以前、企業経営者が集まる会合で「今までは原価に諸経費を足していく形でエンドユーザーに届く段階の値段が決まっていた。でも今は、エンドユーザーに届く段階の値段が先に決まっていて、そこから諸経費を削っていく形で原価が決まっている」という話を聞いたことがある。

そんなことを思い出してしまったよ。

噺家さんのジレンマもあるだろうしね。「値段が問題じゃない。まずは一人でも多くのお客さんに落語を観てもらいたい。話はそれからだ」って考えもあるだろうし。

大衆芸能だから仕方ないけど、歌舞伎とかに比べると落語ってそもそも木戸銭が安いんだよね。しかも落語という芸事の質(座布団に座り、扇子と手ぬぐい、言葉と表情のみで構成)から考えると、本来は会場が大きすぎると落語の魅力が減るんだよね。理想的なお客さんの数って30~50ぐらいじゃないかなと思うぐらい。

プロの方々でも、食べていけてるのは一握りという厳しい現実が、ここにあるよね。

この500円という木戸銭を見て、二つの本を思い出した。一つは「100円のコーラを1000円で売る方法」ともう一つは「小説・落語協団騒動記」。

前者はタイトルしか知らないけど、なんとなくわかる。後者は金原亭伯楽師匠が書かれた昭和の時代の落語協会の分裂騒動。真打・・・というよりも噺家を沢山輩出することが、芸の存続のためになるのか?ということを考えさせられる話。

そうやってみると、しっかりと売っていくためには、芸そのものを磨くこともさることながら、コンテクストも(嫌味にならないように)磨いていき、価値を上げていくしかないのかなとか思ったり。ますます「芸事だけやってりゃいい」の時代じゃなくなってきてるよね。

そして、量の増加は質の低下・・・だったら、そもそもとる弟子を少なくすればいいし、真打の数だってもっと少なくていい。落語の世界は「和」を尊ぶ世界だから難しいのかもだけど、真打という立場の価値は維持するべきだと思うし。

芸者さんが呼ばれる席での三味線の演者なども、どんどん「兼業化」していってるし、昔みたいなやり方は通用しなくなってきてるのかな。色々考えさせられる。

冒頭の件、上方って書いたけど、大阪なんだよね。この値段に対するシビアさは、東京よりも大阪の方が顕著だと思う。皮肉なもんだよね、おそらくは「もっと負けてよ」マインドが強く出る地域だと思うのだけど、このマインドがあるのに、以前、橋下さんが文楽に関する予算を削減する時には反対が出たという。

「かわいそうだから」という理由で木戸銭の値段を上げたりするのは、芸人がその好意にアグラをかくかもだから反対だけど、かといってエンドユーザーの側の要望だけがとおる値段に落ち着くのも、俯瞰して50年や100年って単位でみると、良いことなのかわからないよね。

まぁ、高座にあがる噺家さんからすると「あいつの芸は金を出しても観に行きたい」と思われるようになるために頑張るしかないのだけどね。途中でも言ったとおり、来てもらうお客さんがいないと意味がないから、感覚的には目に見えない宣伝広告費という経費を払っているのだという考えかもしれないし。

喜餅としての活動も、そういうトコ、ある。2016年中までは、見えない宣伝広告費、凄く意識してるし、許容してるからね。

日本全国のプロの噺家さんが悩むようなこと、自分も悩んでる。頑張ろうと思う。

おあとがよろしいようで。

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About HoneyPotter

a Japanese/an English learner/a computer game player/a volunteer guide/an English rakugo performer (my stage name: 喜餅/Kimochi)
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